共振?
共振回路には直列共振回路と並列共振回路があります。
直列共振回路はコイルとコンデンサが直列に繋がっている回路で
並列共振回路はコイルとコンデンサが並列に繋がっています。
双方とも共振周波数はf = 1/(2π√(L・C))です。
直列共振では共振点で回路のインピーダンス(抵抗)が理論上0Ωになるのに対し
並列共振回路はインピーダンスが最大になります。
ゆえに直列共振回路では共振点で電流が最大になり並列共振回路では電圧が最大になります。
何れの回路も共振点で電圧位相と電流位相が合致するので負荷に対して最大電力を供給します。
IH電源では電流型共振回路と電圧型共振回路と呼ばれることも有ります。
直列共振回路の方の制御は共振周波数を外れるとインピーダンスが大きくなり電流が流れにくく成るので共振点を外れた時に発振素子に負担が小さく高い周波数でも制御しやすいのですが、電源が大型化すると電流も大きくなるためコイルへの通電が大掛かりになり距離があると通電ロスも大きくなりコスト的に折り合いが付きません。一方の並列共振は電圧形なのでコイルへの通電は同軸ケーブルも選定可能で電源とコイルが遠距離の場合など有利ですが共振点から外れると大電流が流れ発振素子を破壊します そのため制御が難しい高い周波数に向きません。
加熱コイルのL(インダクタンス)は形状や巻数で変わるので単純な円筒形のコイルなら計算でインダクタンスが求められますが、加熱コイルは加熱したい場所や温度ムラを考慮したデザインなので作ってみてLCメータで計測しないと分かりません。
コイルと被加熱物
予めコイルの形状を考えます。
その時コイルに流す電流も先の加熱電力の計算値で予想します。
コイルに流れる電流が予想できればコイルを冷却する水の量も予想できますから
流量からコイルの太さも予想出来ます。
加熱コイルは手作りです 銅パイプを炙って曲げて作ります。
コイルの試作品で加熱の実験を繰り返し条件出しを行い試作品から製品用のコイルを設計します。
コイルを装置に固定する方法やコイルが被加熱物と接触しても安全が保たれるようにコイル表面に絶縁体をコートしたりコイルの形状を維持できるようにサポートを考えたりコイルに冷却水を流すためのソケットの数(冷却水の系統数)を決めていきます。
コイルの形状や周波数、電流などのパラメータが決まったら高周波電源装置の設計が出来るように成ります。
狙いの共振周波数から必要なC(コンデンサ容量)を選定することになります。
高周波電源は机上実験で使われるオシレータと違い共振部の共振周波数で周波数が決まります。
よくダイアルで周波数を可変するものと思い違いされますがそれとは出力が違い過ぎます。
コイルのインダクタンスに合わせ巨大なコンデンサを組み替えて共振周波数を調整します。
コンデンサの組み合わせを考えるのは大変です。
例えばコンデンサ容量1μF、耐圧1000Aの巨大なコンデンサが有ったとします。
コイル電流が1100Aとするとこのコンデンサでは耐圧が足りません。
他に選択がない場合はこのコンデンサを2個直列に繋いだものを2列並列に接続して1μFを作ります。
これで耐圧が2000Aになって使えるように成ります しかしコンデンサが4個になってしまうので大変です。
コンデンサはプリント基板についているような小さなコンデンサと違い1つが20kgも有るような巨大な物なので
装置内のレイアウトも関係して設計は大変です。特殊なコンデンサなので納期もかかります。
これは周波数との関係も大きく周波数を下げたい場合 希望の周波数比の2乗倍のコンデンサ容量が必要です。
例えば3kHzを1kHzに変更する場合 コンデンサ容量は9倍になります。
共振周波数の公式見るとルート分の1に比例しています。
コンデンサとコンデンサをつなぐのはブスバーと呼ばれる銅板です。
ブスバーは双極2枚で構成しますが極間で大きな空間を作ってしまうと漏れ磁束が発生し
筐体を加熱してしまいます。
場所の制約と取り回しを考慮して極力 極間を狭くする工夫が設計者の腕の見せどころです。
高周波電源の設計 その1
高周波電源の設計 その2
高周波電源の設計ではパラメータから構成を考えたりブスバーの形状を考えるうえで計算する状況が多いです。
関数電卓を使うのですがよくマイクロやピコ、メガやキロを入力する際に間違えるケースが多く
折角途中まで順調に計算していたのに突然数値が変な桁数をさして残念な事に成ります。
高周波電源はコイルのインダクタンスはマイクロHが多くコンデンサはマイクロFが多いので
計算式を単純化して計算を楽に工夫しています。
1)共振周波数の計算
25330 = f^2 ✕ C ✕ L
例えばコンデンサ5μFでインダクタンス10μHなら
25330 ÷ 5 ÷ 10 = 506.6 で √506.6 = 22.5 → 22.5kHz が共振周波数になります。
2)冷却水の流量計算
W = 0.07 ✕ S ✕ T
WはkW、Sは冷却水の流量L/分、Tは差分熱量℃
例えば10kWを水で冷却する場合に流量5L/分の時、冷却水の温度は?
10 = 0.07 ✕ 5 ✕ ?℃ なので逆算して ? = 28.57℃
冷却水の入口温度が10℃なら出口では38.57℃になります。
3)銅の抵抗算出
RμΩ = √(f/ 3)✕ 1.72μ
Rは抵抗値でμΩ・cm
fは周波数で単位はkHz
この計算式はLCメータによる実測を元にしている。
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